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2009-08-0320090803

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 いい映画

 題名は、もちろん同名小説から

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 以下ネタバレ含む




 キャラクターたちの心の動きなどに関する演出は非常に丁寧だなと思った


 例えば、ある日、花岡靖子(まつゆきやすこ)宅に前夫である富樫慎二(ながつかけいし)が無理矢理侵入し、いざこざがあって靖子が富樫を殺し、隣に住んでいた石神哲哉(つつみしんいち)がその物音を不審に思い靖子宅を訪ねるのだが、富樫に侵入されてしまった靖子はドアを開ける前にしっかりとドアチェーンを確認する

 細かいことなのだが、そうやってキャラクターの心の動きを丹念に一つ一つの描写で描くことによって誰が見てもキャラクターが何を思っているのかがわかるようになっている



 はっきり言って、ストーリーや謎解きを楽しめる映画ではないと思う


 まず、ドラマありきの作品であること

 自分は『ガリレオ』を見ていないのだが、そのような人間にとっては湯川学(ふくやままさはる)、内海薫(しばさきこう)など、ドラマと共通するようなキャラクターの説明がおざなりで理解出来にくい部分がある

 冒頭に、本作とほぼ関係のない別の事件についてのシーンが出てくるのだが、あれをするぐらいなら主要なキャラクターの簡単な説明を入れたほうがよかったのではないか


 ストーリーも、そこまで劇的なものではない

 石神が靖子に犯罪の隠蔽を指示して、犯罪の痕跡を消して警察の捜査を振り切るというミスリーディングをしておきながら、実は石神が靖子の罪を被るという結末は、正直題名から容易に想像できる

 「献身」ということは自らを犠牲にするということだと考えると、かなり早い時点で天才的な頭脳を持つはずの石神が死体が富樫であるとミスリーディングさせるような証拠を残していることにも合点が行く


 謎解きもそこまで面白くない

 


 だが、キャラクターをしっかりと描くことによって、石神が靖子に抱いていた思いが伝わってきて張り裂けるような気持ちになる

 これはミステリーではなくて、ラブストーリーだ

 それも、独りよがりではあるものの、恋というよりは愛に近い感情を抱いた石神の


 人は勝手に、自分の価値を推し量ってしまう

 決してそんな価値なんてものは存在しないのに、「自分は愛されるに値しない人間だ」とか、「そんな自分に対して優しく接してくれるなんて素晴らしい人だ」とか思ってしまう

 推測するに、石神だけではなく、靖子もそういう気持ちを持っていたはずだ

 暴力のせいか、ギャンブル癖のせいか別れてしまった前夫がつきまとってきて、男性不審にもなっていただろう

 そんな中で前夫を殺してしまい、あまり素性を知らない石神がその隠蔽に手を貸してくれるが、ストーカーのような行動を取り始め、しかし、実はそれも含めて石神が靖子を守るための行動だったことを知る

 石神も靖子も、自己嫌悪と人間不信の塊だったが、その二人が優しいすれ違いを見せるというのが悲しかった

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